原稿本

2020年4月号

高齢者に対する化粧療法が口腔機能や食事動作に及ぼす影響Effects of cosmetic therapy for the elderly on “eating”

  • 株式会社資生堂 社会価値創造本部(Social Value Creation Division,Shiseido Co.,LTD)
  • 池山和幸(Kazuyuki Ikeyama)

高齢者にとって「食べること」は、生活をサポートするだけでなく、日常の中で楽しむことの1つであるとし、老年期の生活の質に関連する食事と化粧行動の関係について紹介している。老化や脳機能障害などによって口腔機能の低下を引き起こす。化粧療法は軽度の上肢運動となり、摂食活動の自立を改善する効果が確認された。歯科専門家は、看護予防クラスに化粧療法を取り入れる活動を行う中で、食事を維持する取り組みとして化粧療法が期待できるとしている。

自律神経計測による妻へのフェイシャルケア効果の基礎的研究Basic study on the effects of face care by autonomic nervous function

  • 日本赤十字九州国際看護大学(Japanese Red Cross Kyushu International College of Nurshing)
  • 西尾美登里 (Midori Nishio) 他, et al.

自律神経機能によるフェイシャルケアの効果を目的とした研究において、女性の家族のいる10人の男性介護者に参加してもらい、顔のケアの前後の自律神経の比較を評価した。いつもと同じ力で顔のケアを行い、乳液を妻や母の顔に塗り、手を顔に近づけ、肌をできるだけ動かさないようにしたところ、顔のケアの後、自律神経や肉体的ストレスは夫に良い変化を示し、精神的ストレスは夫と息子の両方にとって好意的に変化した。フェイシャルケアは、夫による女性の家族介護ストレスを減らすのに効果を示唆すると紹介している。

脳活動の変化を中心とした指標による化粧療法プログラムの効果検証Effect of cosmetic therapy evaluated by changes in brain activity

  • 資生堂グローバルイノベーションセンター(Shiseido Global Innovation Center)
  • 町田明子(Akiko Machida),白土真紀(Maki Shirato)

化粧療法は、認知症に苦しむ高齢者の生活の質を改善するという。化粧品は、視覚、触覚及び嗅覚を介し、快適な刺激を与え、認知機能関連の脳活動に影響を与える可能性がある。化粧療法プログラムを開発し、高齢女性の効果を評価したところ、左前頭前野の酸素化ヘモグロビン濃度が有意に増加、神経機能障害の診断方法脳波分析(EEG)パターンの有意な安定化、唾液中のコルチゾール濃度の低下が見られた。彼らの日常生活を観察し、被験者の不安の減少、コミュニケーションスキルの向上、集中力の高まりなどが見られたと説明している。

温泉藻類RG92によるQOLの向上Improvement of QOL by a hot spring-derived microalga RG92

  • ㈱SARABIO温泉微生物研究所(SARABiO Onsen Probiotic Lab.Co.Ltd.)
  • 髙山愛(Ai Takayama),加世田国与士(Kuniyoshi Kaseda)他,et al.

温泉は、様々な炎症に関連する症状を和らげるとされているが,その利点の科学的証拠は十分に確立されていない。温泉には様々な微生物が生息し、その成分が温泉の治療効果に中心的な役割を果たすことが示唆されている。別府温泉由来微細藻類Mucidosphaerium sp. RG92は、ヒト初代皮膚細胞に抗炎症作用を示し、RG92抽出物は、抗酸化作用を示すことを発見している。RG92は関節の炎症性疾患の予防に有用であり、それによりQOLとともに健康寿命が改善すると述べている。

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